医学教育支援室は、医学教育を支援する製品開発・販売を行う部署として2020年に開設された部署です。東京支社では以前からシステム開発技術の教育サービスを提供してきたのですが、2016年ごろから自社製品をつくりたいという気運が高まり、実験的なトライを重ねた結果、ビジネスとして成立しそうな医学教育をサポートする部署としてスタートしました。
私たちが提供しているのは、大学の医学部向けの臨床・臨地実習支援システムです。医学科と看護学科の学生が卒業前に医療現場で行う臨床・臨地実習をサポートしています。
この仕事に携わって初めてわかったことですが、大学の教育現場のICT化はなかなか手が付けられておらずほぼ紙ベースで行われています。教育を支援するシステムそのものが、ありそうで存在していませんでした。私たちが最初に仕事をさせていただくことになった福井大学医学部にはプロトタイプとなるようなシステムがありましたので、まずはそれをベースに新たなシステムを構築していくこととなりました。システムは外側から見ると単純に見えましたが、臨床実習の期間や年度、回る順番など内容が複雑で、大学によっても微妙に時期や内容が違います。いろんなパターンに対応できるように作るのが難しく、1年以上かけて何度も作り直しました。
診療参加型臨床実習を充実させる | F.CESS https://new-hopes.healthcare/
2021年4月から本格的に販売を開始し、現在、医学部2校、看護学科はテスト利用を含めて10校で導入していただいています。今後は理学療法士、歯学科、教育学部の教育実習への展開や、卒業後の研修医にも裾野を広げていきたいと考えています。
教育を支援するLMS(ラーニングマネジメントシステム)はすでに世にありますが、実習に特化したLMSに限るとそれほど競合は存在していません。最近、ウェビナー(webセミナー)でも私たちが開発したシステムの特性を発信していますが、実際に使っていただいた現場の先生方からは「いいね」と言っていただいていますし、紙で実習を行っている学生からは「これを使える後輩がうらやましい」という声ももらっています。紙だと書いたものを提出して翌日に取りに行って…となりますが、チャットだったらその場ですぐフィードバックできる。ICTを取り入れることで、効率化だけでなくタイムリーな指導で教育の質向上にもつなげています。
さらに、最近では蓄積した指導データの活用に目が向けられています。学修進捗のやフォローが必要な学生の可視化から始まり、生成系AIの活用やデータ分析の研究など、ICTを活用したスマートな医学教育を展開していきたいです。